口蹄疫 まとめ(その4)

 今日、17例目の疑似患畜の発生が公表された。川南町なので移動・搬出の制限区域内ではあるけど、終息の気配はない。
 口蹄疫に関する情報


 どうにもこうにも消毒剤が足りないらしい。輸出元の欧州がアイスランドの件で動きがとれない影響もあるのだろう。地方分権のご時世、国(農水省)が、九州以外の都道府県で備蓄している消毒剤を引き剥がして宮崎に投入しようにも、協力要請まではできても強制力は持ち得ない。どこだって自県にこんな恐ろしい病気を入れたくないから、誰かに強制されて渋々というのが精一杯の対応だろう。そうなると、ある種の横紙破りが必要になるが、それは政治家にしかできない。政務三役の出番だと思うのだけど、汗をかくのが嫌なのか、支持率浮揚に効果がないと踏んでいるのか、そもそも御関心がないのかどうにも動きが鈍い。というか、大臣は、今、日本にいない

 国では、家畜伝染病予防法の中で監視伝染病として、家畜伝染病(法定伝染病)と届出伝染病を指定し、その中でも時に「これは発生したらヤバイ」というものを特定家畜伝染病として位置づけ、平時から備えるべく指針を策定し、国、地方公共団体、その他関係機関等の役割分担についても定めている。対象疾病は口蹄疫BSE、高病原性鳥インフルエンザ、豚コレラ
 口蹄疫についてはこちら(PDF:292KB)。


 と、まあ平時の備えはそれなりにあったのだけど、有事の際には想定外のことだって起こってしまう。今回の場合は、消毒薬が足りないということがそう。まさか輸入が滞ることまでは予測できないだろうから、そのことで政府を責めても何も出てこない。今から打てる手があるとすれば、政治家が動くことしかない。既存の仕組みで打てる手はすでに打たれている。役人が優秀でも今以上のことは、この国の仕組み上できない。せいぜい代替品をかき集めるぐらいか。そのぐらいは既にやっているだろう、いくら何でも。大臣不在なら総理なのか、日本にいる副大臣政務官の誰かなのかはわからないけど、今まさに政治主導の出番なんだが実に奥ゆかしい。無駄に奥ゆかしい。(敢えてそういう表現にしておこう。口汚く罵ると心が荒んでしまう。そこからは何も生まれない。)



 そんで、こんな状況なので、「ビルコン(口蹄疫ウイルスに有効な消毒剤)がなければ、〇〇を使えばいいじゃない」的な何かがないもんかと探してみた。
 動物衛生研究所のサイトに口蹄疫ウイルスに対する市販消毒薬の効果判定なるものがあったけど、いまいちよく解らない。せめて商品名がないもんかと探してみたら、こんなのがあった。「口蹄疫ウイルスに対する市販消毒薬の効果」について

 この他にも、炭酸ソーダ消石灰なんかも使えるとか。次亜塩素酸ソーダもたぶん使えるだろう。

 消毒剤は酸性・アルカリ性のものを併用すると、互いに中和し合って意味がなくなってしまうし、泥など有機物が混じると効果が半減どころでなく低下する場合もあるので要注意。使うときは先に水洗いをすると効果的。踏み込み消毒槽も同様。長靴の水洗いは本当に大事。消毒剤は汚れたら交換するってことにしていると、意外に経費がかさむ。寒冷地だと、スチーム洗浄のノズルが対象から離れすぎても効果がなくなってしまう。「消毒しているから大丈夫」と行為に満足してしまわずに、「このやり方で本当に消毒できている?」ってことを思い返しながら行うことが大切。


 あれこれボヤいても仕方がないし、マンパワーだって圧倒的に足りない中で、現場にいる人はどんどん疲弊していくばかり。消毒ボランティアとか、募集してたら行ってこようかなあ・・・・それで何かが決定的に解決できるわけではないけれど、こんな状況だからこそ、ヒステリーを起こさずに、各人ができることをそれぞれの持場で精一杯やっておきたいものです。そして、一日も早い終息を。






 それはそれとして、こっちも追々究明してほしいものです。BSEのときのように有耶無耶にせずに。
口蹄疫疑い3例 中国産稲わら使用/宮崎県 慎重に経路究明

宮崎県内で口蹄(こうてい)疫の疑似患畜が4例確認された問題で、同県の22日までの調査によると、3例目までの農家はいずれも中国産稲わらを使っていたことが分かった。流通経路は複数に分かれているという。

 稲わら輸入に際しての衛生条件は、動物検疫所のサイトで確認できる。
  わら 、飼料用の乾草の輸入検査手続

悪性の家畜伝染病の発生地域からの穀物のわら ・飼料用の乾草は原則輸入禁止です。

ただし、条件を満たしたもので、輸出国政府機関が発行した証明書を添付してある穀物のわら・飼料用の乾草は輸入が可能です。

 ・「中華人民共和国から日本向けに輸出される穀物のわら及び飼料用の乾草の家畜衛生条件」(平成14年12月16日付け14動検第821号)
 ・農林水産大臣の指定するこも、むしろ及び稲わらの加熱消毒施設(平成22年3月16日更新)(PDF:97KB)

 ジェトロ日本貿易振興機構)のサイトにも、こんなのがある。
 中国からの稲わら輸入での注意点

 稲わらについても、思うところはいろいろあるけど、それはまた別な機会に。