口蹄疫 まとめ(その26)

 研究課題を公募しているようだけど、手を挙げられる研究機関はどのくらいあるんだろう?と素朴に思った。牛、豚でそれぞれ検証する必要はあるんだろうなあ。疑似患畜が出なくなって一定期間が経過し、確認検査が終了すれば終息宣言が出されるのだろうけれど、後始末はまだ残っているということ。
 すでにかなりの時間が経過しているので、仮に切り返しができる方法が見つかっても、嫌気発酵がそれなりに進んでしまい、堆肥化発酵を行う微生物が分解できるモノがなくなってしまっていたら厳しいかもしれないなあと素人的には感じてしまう。良い方法が見つかればいいのだけど。


 「口蹄疫に関する緊急調査研究」の研究課題の公募について

概要
 農林水産省は、農林水産業・食品産業の現場の技術的課題の解決に向けた実用技術の早急な開発を推進するため、提案公募型の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」を実施しています。
 本事業のうち、年度途中の緊急的な課題に迅速かつ的確に対処するため、当該年度内に必要な調査研究を行う「緊急対応型調査研究」について、研究対象を下記のとおり決定し、研究課題の公募を行いますので、お知らせします。


スケジュール
1. 公募期間:7月9日(金曜日)から7月16日(金曜日)12時まで(必着)
2. 採択課題の決定・公表:7月23日頃(予定)



 (別紙)「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」のうち「緊急対応型調査研究」について今回募集する研究対象(PDF:57KB)

研究対象
口蹄疫発生地区の排せつ物等の適切な処理法に関する緊急研究


研究対象の背景と想定される試験研究の概要
 本年4月に宮崎県で発生した口蹄疫では、まん延防止とともに家畜排せつ物等の処理が課題となっている。今後、焼埋却できない家畜排せつ物等について、適切に処理して口蹄疫の再発を防止するとともに、堆肥等として資源の有効利用を図るため、今回発生したO型口蹄疫ウイルスの日本の気候における消長に関する調査及び堆肥切り返しの際の飛散性等に関する調査が必要である。


 このため、本課題では、
 1. 今回のO 型口蹄疫ウイルスについて、排せつ物等の環境中におけるウイルス残存性の調査
 2. 排せつ物処理における粉塵等の飛散低減策の調査
を行うものとする。

口蹄疫 まとめ(その25)

 国富町での移動制限/搬出制限が解除された。
 口蹄疫の発生に伴う移動及び搬出制限の解除について(平成22年7月8日 宮崎県)

1 移動制限等の解除について
 6月16日に国富町に所在する肉用牛肥育農家において、口蹄疫の疑似患畜が確認されたことを受けて、当該農場を中心として設定された、半径10kmの移動制限区域、半径20kmの搬出制限区域(ワクチン接種地区及び宮崎市の移動制限区域・搬出制限区域と重複する地域を除く)については、7月8日午前0時をもって解除した。


 国富町の清浄性確認検査の結果について(平成22年7月7日 農林水産省

1 清浄性確認検査の結果及び今後の予定
国富町を中心に設定されている移動制限区域において、6月30日以降実施していた移動制限区域内の牛・豚等飼養農家全戸に対する清浄性確認のための検査(抗体検査及び臨床検査) の結果、本日までに、当該地域の清浄性が確認されました。宮崎県は最終発生例である290例目の殺処分が完了した6月16日から21日が経過する、7月 8日(木曜日)午前0時をもって、当該地区における移動制限・搬出制限を解除する見込みです。



     


 口蹄疫に関する情報農林水産省
  発生場所(PDF:602KB) (平成22年7月6日現在)
  発生事例のリスト(PDF:91KB) (平成22年6月28日現在)

口蹄疫 まとめ(その24)

 西都で移動制限・搬出制限解除 
口蹄疫の発生に伴う移動及び搬出制限の解除について(平成22年7月6日 宮崎県)

1 移動制限等の解除について
6月10日に西都市に所在する肉用牛肥育農家において、口蹄疫の疑似患畜が確認されたことを受けて、当該農場を中心として設定された、半径10kmの移動制限区域、半径20kmの搬出制限区域(ワクチン接種地区及び国富地区の移動制限区域・搬出制限区域と重複する地域を除く)については、7月6日午前0時をもって解除した。


7月6日 家畜伝染病の家畜等の移動の制限の変更(PDFファイル:114KB)
家畜の移動制限・搬出制限区域イメージ図(7月6日現在)(PDFファイル:66KB)


 西都市の清浄性確認検査の結果について(平成22年7月5日 農林水産省

1 清浄性確認検査の結果及び今後の予定
西都市を中心に設定されている移動制限区域において、6月28日以降実施していた移動制限区域内の牛・豚等飼養農家全戸に対する清浄性確認のための検査(抗体検査及び臨床検査) の結果、本日までに、当該地域の清浄性が確認されました。 宮崎県は最終発生例である289例目の殺処分が完了した6月14日から21日が経過する、7 月6日(火曜日)午前0時をもって、当該地区における移動制限・搬出制限を解除する見込みです。


2 その他
(1)本日、宮崎市のワクチン未接種農場(292例目)の検体について、農研機構動物衛生研究所がPCR検査(遺伝子検査)を実施し、1頭で陽性が確認されました。また本日、宮崎県は、当該農場(牛16頭)の殺処分・埋却を完了しました。(事例の詳細については、別添資料をご参照ください。)


各事例の詳細について(PDF:102KB)


     

口蹄疫 まとめ(その23)

 移動制限区域内、ワクチン接種区域の外側での疑似患畜発生。現在のマニュアル(というか作業方針的な何か*1)に沿った措置をとっていれば、そう簡単に広がることは考えられない。
 ただ、消毒作業に狎れてしまうと、本来徹底されているべき作業が疎かになり、「上手の手から水が漏れる」ようなことも起こり得るから油断禁物。消毒作業をしているということと、消毒できているということがイコールになるとは限らない。


 宮崎県における口蹄疫の疑い事例の292例目について(平成22年7月5日)

昨日夜、宮崎県が、宮崎市を中心に実施していた清浄性確認検査において、同市内の農場(牛16頭:移動制限区域内・ワクチン接種区域外)の飼養牛1頭に口蹄疫特有の臨床症状を確認しました。このため、同県は、当該農場の飼養牛全頭を疑似患畜と判断し、昨日から殺処分を開始しました。



    


    


 抗体検査で検出できなかったのか?
 おそらく難しいだろうと思われる。それは検査体制の不備を示すものではない。病原体が家畜の体内に侵入してから抗体価が上がるまでタイムラグがあるし、抗体価が十分に上がっていなければ、感染していても検出できないから(抽出検査でも全頭検査でも同じこと)。
 遺伝子検査なら、現行の体制では器材と人員が足りないのではないだろうか。器材が調達できても人は簡単には調達できない。
 というわけで、平時に備えがない中でできる限りの対応をするとすれば、今のやり方以上のものは、おそらくない。この段階で確認できているということは、清浄性確認検査のシステムが機能しているということの証左ではないだろうか。見逃して、移動制限を解除した後で患畜が見つかるよりは絶対にマシなはず。また、こういうことが起こり得るから、移動制限解除には慎重な対応を取っているはず。
 1日も早い終息を願ってやまないが、焦っても良いことは何もない。

*1:※公表されているマニュアルは、アリバイ的に取りあえず作られたような感じで、あれを読めば国や県の関係者なら誰でも口蹄疫の防疫作業ができるかといえば、そうではないと思う。何か事情があってアレになっているものと解している。

口蹄疫 まとめ(その22)

 清浄性は確認されたようだ。よかった。
 都城市・日向市の清浄性確認検査の結果について(平成22年6月30日)

1 清浄性確認検査の結果及び今後の予定
都城市を中心に設定されている移動制限区域においては、最終発生例である280例目の殺処分を6月10日に完了し、6月22日以降、移動制限区域内の牛・豚等飼養農家全戸に対し清浄性確認のための検査(抗体検査及び臨床検査)を実施しました。本日までに、当該地域の清浄性が確認されたことから、宮崎県は、7月2日(金曜日)午前0時をもって、当該地区におけるすべての移動制限・搬出制限を解除する見込みです。


日向市を中心に設定されている移動制限区域においては、最終発生例である284例目の殺処分を6月11日に完了し、6月22日以降、移動制限区域内の牛・豚等飼養農家全戸に対し清浄性確認のための検査(抗体検査及び臨床検査)を実施しました。本日までに、当該地域の清浄性が確認されたことから、宮崎県は、7月3日(土曜日)午前0時をもって、当該地区におけるすべての移動制限・搬出制限を解除する見込みです。



 こちらも朗報を期待したい。
移動制限等解除に向けた清浄性確認検査について(平成22年6月25日)

西都市(283例目)・国富町(290例目)・宮崎市(285例目)を中心に設定されている移動制限区域においては、最終発生例の殺処分が完了した6月19日から、新たな疑い事例は発生していません。このため、移動制限区域解除のための清浄性確認検査を6月28日(月曜日)から順次開始することとします。



 この騒動のゴールが見えていることは間違いなく喜ばしいことではある。が、防疫というのは、有事の対応だけを上手くやれればそれで良しというものではなく、日常的な積み重ねも必要なこと。『終息したらおしまい』ではなくて、日常的な防疫意識の向上・啓発や支援にも意識が回れば良いのだけど。
 日常的な取組が必要で、所得の向上には直結しないという点では、環境対策とも似ている面がある。予算措置が必要なこと、予算措置なしにできること色々あるはずだ。とはいえ、上(行政)から下(農家等)までWebベースで物事を考えるのが苦手な業界なだけに・・・・

口蹄疫 まとめ(その21)

 終息に向けてまた一歩前進。都城で陰性が確認できなかった1頭が、非特異反応による偽陽性であることを祈りたい。
都城市・日向市における清浄性確認検査の進捗状況について

1 経緯
都城市を中心に設定されている移動制限区域においては、最終発生例である280例目(6月9日確認)の殺処分が完了した6月10日から、また、日向市を中心に設定されている移動制限区域においては、最終発生例である284例目(6月10日確認)の殺処分が完了した6月11日から、新たな疑い事例は発生していません。このため、移動制限区域解除のための清浄性確認検査(以下の[1],[2])を6月22日より実施しています。


[1] 半径3km以内及び発生農場と疫学的に関連のある牛・豚飼養農家全戸を対象とした血清学的検査(抗体検査)
[2] 移動制限区域内(半径10km以内)の牛・豚等飼養農家全戸における臨床検査


2 結果
・[1]の検査について、本日までに、動物衛生研究所において、1農場(牛25頭採材のうち1頭)を除き、対象の牛・豚飼養農家(都城市:95農場、日向市35農場)で陰性を確認しました。


3 今後の対応
・抗体検査(ELISA検査)で陰性と確認できなかった1農場の1頭については、念のため、本日改めて血液を採材し、再度抗体検査(ELISA検査)を実施します。なお、当該農場の飼養牛は現在のところ口蹄疫を疑うような症状は示していません。


・その他農場については、[2]の検査として、現在、対象の牛・豚等飼養農場の臨床検査を実施しているところ。


・清浄性確認検査の結果、当該地域の清浄性が確認されれば、日向市を中心に設定されている移動制限区域及び搬出制限区域は7月3日(土曜日)午前0時をもって、制限が解除される予定です。なお、都城市を中心に設定されている移動制限区域及び搬出制限区域の解除については、再度実施する抗体検査等の結果により判断しますが、異常が認められなければ、7月2日(金曜日)午前0時をもって、制限が解除される予定です。




 おそらく感染源そのものの特定は難しいであろうから、感染拡大の要因分析が中心になっていくのだろうかと思っていたら案の定な感じであった。
食料・農業・農村政策審議会 家畜衛生部会 牛豚等疾病小委員会
口蹄疫疫学調査チーム第3回検討会の概要(PDF:68KB)
抜粋すると(傍線筆者)

 感染拡大の要因としては、
[1]異常畜の一部に抗体検査で陽性となるもの(感染から一定期間を経ているもの)が認められるなど異常畜の確認に遅れがあったこと、
[2]埋却地の確保が難航し、殺処分・埋却が遅延したこと
が考えられる。特に、豚が感染した結果、ウイルス量が大幅に増幅し、更に感染が拡大したと推察される。


 えびの市における発生は、川南町の関連農場から出発した家畜運搬車が関与した可能性が高く、また、9例目と22例目の発生農場は共同でたい肥化施設を利用していたことが確認されていることから、これらによりウイルスが伝播した可能性が否定できない。


 発生当初の都農町から川南町への感染拡大については、発生農場の間で従業員の移動が確認されている例があり、これらの人を介してウイルスが伝播した可能性があることから、さらに調査を進める必要がある。

 これ、検討会メンバーなど関係者の間では、感染拡大に大きく寄与している者の当たりはついているんじゃないだろうか?と感じてしまったのだが勘ぐりすぎなのだろうかねえ。傍線を付した部分に注目するとそう思えなくもないから困る。つるかめつるかめ。

口蹄疫 まとめ(その20)

 ようやくゴールが見えてきたというところか。まだ、ワクチン接種した家畜の殺処分が3万頭あまり残っているし、ワクチン接種に同意していない農家への対応も残っている。とはいえ、新たな発生がなければ、確認検査の上で移動・搬出制限が解除になって終息宣言が出され、防疫のための措置は一段落となる。
 そこまで終えることができて、ようやく農家の経営再建に向けての動きが本格化させられるというところだろうか。

口蹄疫の疑似患畜の殺処分・と体の埋却の完了について
平成22年6月24日 農林水産省

1 口蹄疫の疑似患畜の殺処分・と体の埋却の完了について

・ 本日、227例目(高鍋町)の農場・287例目(西都市)の関連農場において、疑似患畜の殺処分・と体の埋却が終了しました。このことにより、口蹄疫の疑似患畜(291例、199,293頭)全ての殺処分・と体の埋却が完了しました。



 それはそれとして、こっちの議事概要も早くアップしてもらいたいものです。
口蹄疫疫学調査チーム 第3回 検討会の開催について

検討会の内容
(1)宮崎県における口蹄疫の発生状況及び防疫措置状況について
(2)ワクチン接種区域外への感染拡大要因の分析について
(3)口蹄疫発生に係るまん延防止対策について
(4)その他

諸々の要因分析の内容や、今回の事例を踏まえて法改正はあるのかなど興味深い。